Interview 01
子どもたちに生涯消えない
センス オブ ワンダーを!
レイチェル・カーソン日本協会 会長、
エッセイスト
上遠 恵子 Kamito Keiko
「子どもたちの世界は、いつも生き生きとして新鮮で美しく、驚きと感激にみちあふれています。」 「わたしは、子どもにとっても、どのようにして子どもを教育すべきか頭をなやませている親にとっても、「知る」ことは「感じる」ことの半分も重要ではないと固く信じています。」
「子どもたちがであう事実のひとつひとつが、やがて知識や知恵を生みだす種子だとしたら、さまざまな情緒やゆたかな感受性は、この種子をはぐくむ肥沃な土壌です。幼い子ども時代は、この土壌を耕すときです。」
これらの言葉は、「沈黙の春」の著者として知られているレイチェル・カーソンの最後の作品「センス・オブ・ワンダー」に書かれています。私は、この本を翻訳しながら“そうだ!そうだ!”と同感の声を何度もあげたのでした。
幼い子どもは、ダンゴムシが大好きです。突つくと丸くなりやがてまた歩き出す動きに、子どもの好奇心は全開です。蒔いたタネから芽が出てくる観察をする時、アリの行列を長いこと見つめている時、子どもたちは生命と向き合っているのです。自然界の不思議に目をみはる感性は幼い時に培われます。大人たちは、ともすれば子どもたちのかけがえのない時間を、“早く、早く”と急き立てているのではないでしょうか。子どもと感動を共有するとき大人もまた豊かな感性を蘇らせることができるのだと思います。
私は、最近あまりにも人工的なゲームや、プラスティックな玩具が多すぎることに危惧を感じています。子どもは自然のなかで遊ぶことによって創造力や想像力を育むことができます。都市化や原発の事故などのために、すべての子どもが自然のなかで遊べない状況のなかで、室内で木製の遊具や自然素材を使っての創作活動によって育まれる感性があるでしょう。それは、やがて生命と環境を守る思想に繋がって行くことを期待したいと思います。
プロフィール
上遠 恵子(かみとお けいこ)